年は53。俗に言う働き盛り。メガネ顔で背は普通で中年太り(メタボ)。趣味はほぼ無いに等しい。やや頭は禿かかっているが、とりあえず体に異常はない。

 中年男性の日本人と言えば、だいたいこのようなものかと思う。現在の私の容姿である。

 これで、外見についてはとりたてて不満はないが、私個人としての内面、すなわち、精神、能力、姿勢(心と行動)などには、自分自身大きな不満がある。立派ではないことだ。

 まず、精神。自分で考えるに、「感謝する」という点が最も希薄だと思われる。事務所のスタッフに感謝し、お客様に感謝し、家族に感謝し、苦言を呈してくれる人に感謝するという精神構造になっていない。刑法学の大家、団藤重光博士は、罪を犯したら罰を受けなければならない(責任をとらなければならない)根本の考え方として、罪を犯した人の人格形成できない点に非難すべき根拠を求める「人格形成責任論」を提唱した。人は、良き人格を形成すべき責任があるという規範的立場に立つ。刑法学的には同意しかねるが、人の生き様としてや倫理的には全くの同感である。より一層、人格すなわち精神を磨きたいと考えているが、実効は上がっていないと思える。自分の現状に大いに不満である。

 次に、能力。会計、税務、監査、これに関する周辺の実務上の知識やスキルの習得は、まだまだ、不足していると思われる。私の学習や勉強は、日々、限界まで行っていない。士(サムライ)として世の中を渡っているのであるから、少なくとも専門的知識・ノウハウを世のため人のために提供し活用できなければ、存在意義がない。より一層の研鑽を毎日積むことが必要だと思う。したがって、会計事務所経営者(会社経営者)という前に、一人の専門家(プロフェッショナル)でありたい。しかし、私の能力欠如が著しく、お客様やスタッフに満足していただいているのか、疑問の場合が多い。現実は厳しい。

 最後に、姿勢(心の姿勢、行動への姿勢)。誠実に、かつ謙虚に、そしてアグレッシブに、前進する。これが、一番の基礎にあるべきだと思うが、ついつい、損得、打算、経済的有利を選択・優先してしまい、「誠実に」「謙虚に」とはいかない自分がいる。

 上記の精神、能力、姿勢を鍛えるには、目の前の仕事を懸命に行うことが大切だと思う。しかし、懸命にとは言うが、どの程度までやったら良いのかが分からないし、自分の目標だという人が現実に見つからない。具体的でリアルなベンチマークをどのように探せば良いのだろうか。

 偉人伝などの本を読む、現代の名経営者や名高いプロフェッショナルと言われる人の本を読む、実際にこれらの人に会って話を聞く、周りで強烈に努力している人を意識的に探す、テレビやネットでいわゆる凄い人を見たら訪ねていってみる、等々の方法があると思う。ベンチマークは、必ずしも現実の人でなくても良いと思っている。理想型やイメージでもよい。自分が懸命に生きようとする意欲がかき立てられるベンチマークを見つけたいと、いま、この年になって思っている。

 悩みつきない53の秋である。

平成28年10月2日 山形まるごとマラソンにはじめて出た日  公認会計士 村山秀幸