山形市の村山公認会計士事務所|経営サポート税務相談 税理士

コラム

コラム

横顔

 正面から見たことはない横顔が、その作業所の前の道を車で通るとき、いつも気にかかる。山形駅近くのスズラン通りから少し北に走ると、研磨センターという看板が目につく。この中で、いつも、丸い作業用電灯を煌々と照らして、工作機械に向かって操作している作業服姿のおっさんがいる。この風景をみると、なぜか、得した気分になる。そして、うれしくなる。

 コンビニに入ると、たまに、土木作業員と思われる茶髪の若者や中年を見かける。そして、ジッとおにぎりや飲み物を物色している。こんな光景を見るのもなぜか好きである。そして、無意識に、決まって、その人の横顔が目に入る。

 用があって、日曜に建設会館に入った。そのときには、清掃の作業員が汗だくで廊下や出入口の磨き作業していた。その人が、偶然、エレベーターに乗ってきた。私が、「日曜なのに大変ですね。」と声をかけたら、「休日にやらないと、みんなに迷惑がかかるから。」と応じてくれた。そして、「すみませんでした。」と言って、大きな作業用掃除機といっしょに途中の階で降りていった。その時の作業員の汗臭いにおいが、ぷーんとした。なぜか、嬉しくなった。

 山形市内を一望に見渡せる場所の一つに、「山形県民の森」に行く途中の山の中腹の展望所がある。仕事でこの道を通るとき、たまに気分転換で立ち寄ることがある。天気がよく、よく見渡せる天候の時は、すがすがしい気分になる。他の人もそうした気分で立ち止まるのだと思う。山形市内をこの場所から観望している人のほほえんだ横顔を見るのも、嬉しいことの一つである。

 たまに、仕事で気仙沼に行く。そして、一日の仕事が終わると、きまって、仕事場近くの居酒屋に仕事仲間といっしょに行く。すると、この中は、こんなにも元気な老いも若きも男も女もいるのかというほどの活気に包まれる。大声で隣の若者が議論し、また、その隣では、机をたたいて笑っているご老体がいる。その中の風景の一部になっている自分に気がつく。ああ、いいな、いいなと思う。勘定をすると、マスターが、「8千万兆円」と笑顔で金額を言う。ああ、そうね、百万兆円ね、と言って、カネを渡すと、「はい、領収書」と大声で、釣りといっしょに、いつもと同じように返してくれる。

 いつも、回りから元気を貰っていると思う。回りで頑張っている人がいる。一生懸命な人がいる。真剣で、そして、けなげで、自然に笑い、普通に悩む、そんな人たちがいる。

 忙しい中でも、こうしたことは、たまに思いだそう。今後、これを心がけよう。

 ただ、私自身が回りに元気を与えているのかは、はなはだ疑問である。なにせ、いつも説教くさいし、気持ちにゆとりがないからである。つらいときほど明るく、プレッシャーに押しつぶされそうなときには朗らかに、あまのじゃくのように生きよう。

 研磨センターは人格を磨いているんだと思う。そして、俺には、研磨センターの横顔が付いているんだから。

 平成29年4月23日  一所懸命な人の横顔っていいね!   公認会計士 村山秀幸