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コラム

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ベンジャミン・フランクリンの13の徳目

   1706年に生まれたベンジャミン・フランクリンは、アメリカ合衆国のイギリスからの独立と合衆国憲法に多大な影響を与えた政治家・思想家で、避雷針を発明した発明家として紹介されることが多い。しかし、人類に最も影響を与えているものはその考え方や生き方である。B.フランクリンの生い立ちは貧しかったが、印刷業の丁稚から始まり、その中で懸命に働き、勉強をし、商売を伸ばして実業家として成功するに至り、その後、政治家になるのである。

 「フランクリン自伝」というフランクリン自身が書いた自伝でその圧倒的努力や経緯を知ることができるが、この中に記述されているものが、「13の徳目」と言われるものである。

 13の徳目とは、自らが道徳的で模範的な人間となるために必要と考えた13の徳について、その実践を行う工夫を具体的に記述したものである。世界中の真の成功者たちがビジネスや人生の教科書として学んだ、人生を切り開く成功の手引きとなったものである。

 以下、フランクリン自伝の中から、抜粋してみよう。

 1.節制 頭や体が鈍くなるほど食べないこと。はめをはずすほどお酒を飲まないこと。

 2.沈黙 他人あるいは自分に利益にならないことは話さないこと。よけいな無駄話はしないこと。

 3.規律 自分の持ち物はすべて置き場所を決めておくこと。仕事は、それぞれ時間を決めて行うこと。

 4.決断 なすべきことはやろうと決心すること。決心したことは、必ずやり遂げること。

 5.節約 他人や自分に役立つことのみにお金を使うこと。すなわち、無駄遣いはしないこと。

 6.勤勉 時間を無駄にしないこと。いつも有益なことに時間を使うこと。無益な行動をすべてやめること。

 7.誠実 騙して人に害を与えないこと。清く正しく思考すること。口にする言葉も、また同じ。

 8.正義 不正なことを行い、あるいは、自分の義務であることをやらないで、他人に損害を与えないこと。

 9.中庸 何事も極端でないこと。たとえ相手に不正を受け、激怒するに値すると思ってもがまんしたほうがよいときはがまんすること。

10.清潔 身体、衣服、住居を不潔にしないこと。

11.冷静 つまらぬこと、ありがちな事故、避けられない事故などに心を取り乱さないこと。

12.純潔 性の営みは、健康のためか、子供をつくるためのみにすること。性におぼれ、なまけものになったり、自分や他人の平和な生活を乱したり、信用を失ったりしないこと。

13.謙譲 イエスとソクラテスを見習うこと。

 私は、これらの徳すべてを習慣として身につけようと考えた。同時にすべてを身につけようとすると注意があちこちに散ってしまうので、一定の期間に一つの徳に集中し、それが身につくと、次に移り、これを続けることで13の徳を身につけていくことにした。・・・ 最初の1週間は、「節制」について厳しく注意するように心がけ、その他の徳についてはなるように任せて、ただ毎日、夜にその日に犯した「節制」に関する過ちだけをチェックして手帳に書き込むようにした。このようにして、次の週には、「沈黙」を行い、その次には次の徳を行うようにしていくと、13週で完全に一巡し、1年に4回繰り返すことができる。

 中略

 しかし全体的に見ると、私はやろうと念願した道徳の完成まではとても達せず、その近くに至ることもできなかったが、それでも努力することによって何もやらなかった場合に比べて、人間もよくなったし幸せにもなれたのである。・・・この文章を書いている数え年で79歳になる今まで、私がずっとたいへん幸福であったのは、神の恵みの他に、このちょっとした工夫をしてきたためであることを、わが子孫に伝えておきたい。

    自分の人生は、自ら勤勉に、一生懸命に、働くことで切り開いていけるものだということを繰り返し、教えているのである。 

 

 平成27年7月1日 私も少しでも徳を習慣化したいと思う日々