山形市の村山公認会計士事務所|経営サポート税務相談 税理士

コラム

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趣味は???

 先日、銀行員の方と食事中に仕事の話をしていたら、「村山さんの趣味は何ですか。」と唐突に聞かれた。おそらく、私が食事中にまで仕事の話ばかりをしていたため、「この人(村山)は何を楽しみに生きているんだろう」という意図で質問してきたのではないかと思う。

 そのような質問は、過去に何度もされたが、あまり深く考えずに、読書、将棋、旅行などと答えてきた。しかし、その銀行員の方が何気に「今年の当行の新入社員の中に、年間200冊を読む女性がいて、高校時代は高校の図書室の本をあらかた読み尽くしたそうだ」という話をしたため、私が「趣味は読書」と言うのはおこがましいと思えた。それで、今回、自分の趣味は何だろうかと比較的真剣に考えることになった。

 読書は好きだが、年間200冊も読むわけでないし、文学書はあまり読まず、いわゆるビジネス本ばかり読んでいる輩は、趣味は読書という訳にいかないだろう。将棋に関しては、新聞の将棋欄は欠かさず見ているが、実際の対局は、現在はほとんどない(以前は、将棋道場に通ったり、県の大会に出ていたりしたが・・・。)。旅行に関しては、完全な私的旅行は、お盆時期に行く北海道旅行のみである。これでは、将棋も旅行も趣味とはとても言えないと思う。

 趣味は、自分の世界に入りこんで、他人がどう思おうが関係ないという境地に達することができる何かであると思う。もともと、私は他人からどう思われようがあまり気にしないという性格であるため、すぐに趣味を見つけることができそうなものであるが、自分の世界に入り込む境地を長く続けることができないため、趣味と言うにはすべてが中途半端に思える。

 以前、東京で仕事をしていたときに、ある会社の開発部署の研究員の方が、「寝食を忘れて熱中して、ある研究に取り組んでいます。」と言うのを聞いて、うらやましいなあとツクヅク思ったことがあった。私も、同じようにそれこそ寝食を忘れるほどの熱中する分野や何かを持てればこれに勝る幸福はない、などと思っていたが、それは今も変わらない。このような境地を得られる何かこそが「趣味」と言えるのだろう。研究員にとっては、その研究は、仕事ではあるが、「趣味」と言えるものであったのだろうと思われる。

 当然ながら、このような熱中する事柄には、私が現在行っている仕事は至っていない。

 福沢諭吉は、七則(心訓)の最初に、「一、世の中で一番楽しく立派なことは、一生涯を貫く仕事を持つという事です。」を掲げている。立派でなくてもよいが、一番楽しく充実した瞬間の境地を見つけるために、私は日々過ごしているという感覚がある。

 8月7日から行く北海道旅行も、楽しく充実した瞬間を見つけ出そうとするものである。

 しかし、おそらく、仕事でのやるべきことを気にかけ、引きずりながら、地平線までの道を走るかもしれない。だから、「いま、ここ」という意識を透徹させて、その時その時を楽しみたいと思う。「いま、ここ」にしかいない自分を自覚することによって、熱中できる何かを見つけられそうな気がする。この一点に、自分の現在と未来がある。

 平成28年8月1日   「いま、ここ」に思索中     公認会計士 村山秀幸